自殺者の増加が止まらない。年間の自殺者数が、過去最高の34,427人に達したことが警察庁のまとめでわかったという。98年にはじめて年間の自殺者数が3万人を超えて以来、毎年3万人以上の人が自ら命を絶っている。つまり6年間もの間、この国では毎日100人近い人が自殺をしているのだ。毎日100人近くを死に追いやるような社会なんて、どう考えても異常だ。
<自殺者>リストラ、うつ、過労…1日100人が死を選択(7/23 毎日新聞)
リストラで人が減らされた職場では、1人にかかる仕事の負担が増えたことによる過労自殺も増えている。実際、過労を苦にした自殺(未遂を含む)の労災申請は、01年度92件(認定31件)、02年度112件(同43件)、03年度121件(同40件)と増加している。
昨年1年間の全国の自殺者は、3万4427人で一昨年より7・1%(2284人)増え、統計を取り始めた1978年以降で最悪だったことが22日、警察庁のまとめでわかった。
(中略)
中でも「経済・生活問題」の増加が著しく、前年を12・1%(957人)も上回り、過去最悪だった。さらに原因を具体的に分類すると、「倒産」や「事業不振」がほぼ横ばいだったのに対し、「負債」を理由とした自殺が5043人で、一昨年より21・7%増えた。「生活苦」は13・1%増の1321人、「就職失敗」は18・1%増の183人だった。
(中略)
急増したのが、初めて4000人を超えた30歳代の自殺。一昨年を17・0%(668人)上回る4603人だった。専門家は「40〜50歳代がリストラで減り、30歳代にも仕事の負担が重くのしかかるようになり、過度のストレスを抱える人が増えたのではないか」と指摘している。
なかでも見逃せないのが、自殺の理由として経済・生活問題が急激に増加している(前年比で12%増)ことだ。特に経済的な問題による自殺者数は8,897人。この人たちは、政府がまじめに社会保障制度を整えていれば救えた命ではないか。なかでも社会保障制度を整えることなく、剥き出しの市場主義政策を推し進めることによってこれだけの数の人を死に追いやっている小泉内閣は、もはや犯罪的ですらある。彼らは憲法と生活保護法に規定されている政府の役割を、明らかに放棄している。
生活保護法第1条この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。
日本国憲法第25条1 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
小泉総理はこの異常事態をどう考えているのだろうか。自殺者数が増加していることについての、小泉総理のコメントがロイター通信で配信されていた。
経済の改善努力は必要=自殺者増で首相(7/23 ロイター通信)
小泉首相は、自殺者数が増加していることについて聞かれ、「どういう事情かわからないが、あまり悲観的に思わないで、がんばっていただきたい。理由はなかなかわからない。厳しい状況だと思うが、できるだけ少なくなるような対応が必要だ。これだという特効薬がないので困っている」と述べた。
いったい小泉という男は、どこまで鈍感な人なんだろう。年間何万人もの人が、がんばってもがんばっても生きることに意味を見出せないような社会をそのまま放置しておきながら、「あまり悲観的に思わないで、がんばっていただきたい」なんて、まるで他人事のようだ。
たまたま同じ日に、経団連の夏季フォーラムについてのニュース記事が配信されていた。経済問題による自殺者が毎年増加しているにもかかわらず、主要なテーマは経済や企業倫理ではなく「憲法改正」だとか。中高年を次々とリストラし、残った社員に仕事の負担を増加させ、人件費を安く済ませる "使い捨て" の非正社員をじゃんじゃん増やし、日本の自殺者数増加に多大な "貢献" をしているような会社のトップがずらり集まってみんなで憲法論議?? 阿呆らしい。
<日本経団連>経済政策は主要なテーマにならず フォーラム(7/23 毎日新聞)
日本経団連、夏季フォーラム 「憲法改正」踏み込み議論(7/24 産経新聞)
【関連ページ】
平成14年中における自殺の概要資料(03' 7/28掲載 警察庁)
自殺防止対策有識者懇談会報告「自殺予防に向けての提言」(02' 12月 厚生労働省・自殺防止対策有識者懇談会)
【過去に書いた関連記事】
小泉改革がもたらす、殺伐とした社会(03' 5/24)
この社会に横たわる、深い闇(03' 11/26)